2013年11月7日木曜日

森林で元気モリモリ!”森林セルフケア”


森には癒し効果があります。
森に入るとなぜ心が落ち着いたり、元気が出てくるのでしょうか。


みなさまこんにちは!
すっきり晴れた秋空の毎日に、にんまりしている菊池です。
(残念ながら、今日の東京は雨ですね…。)

早いもので、「市民のための環境公開講座」も終盤を迎えております。
来週12日(火)の第3回にて、2013年度の講座は終了となります。あっという間!


今回はパート3の第1回、
  森林で健康になろう!
     ”森林セルフケア”のすすめ
の講座レポートをお送りします。

講師は赤坂溜池クリニック院長 降矢英成先生です。



みなさん、”森林浴”をしたことはあるでしょうか?

一般的に森林浴とは、
「森林に入り、樹木の香気を浴び、精神的な安らぎと爽快な気分を得ること」
といわれています。
この意味の通り、森林浴といえば”リラックス”、そんなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?

でも実は、この一言では表わせないくらい、森林浴、そして森林は不思議なパワーを秘めているのです


「森林が体にいい」ってどういうこと?

森林には、人間の心、そして体をも元気にしてくれる不思議なパワーが備わっています。
まずはそのパワーについて、探っていきましょう。

(1)森林のパワー1:フィトンチッド

”フィトンチッド”という言葉を聞いたことあるでしょうか?

フィトンチッドとは、樹木が自分を守るために出している化学物質のこと。そしてこの物質こそが、森林がもつ不思議なパワーの源!

フィトンチッドは、人間にやすらぎを与える効果をもつといわれています。

自律神経の1つである副交感神経を促進し、心身をリラックス状態にするのです。副交感神経は交感神経とバランスをとりながら、体の調子を整えてくれる神経です。このバランスが崩れたりはたらきが悪くなったりすると、心身の健康に影響を与えます。自律神経失調症や高血圧症がその例です。

そしてフィトンチッドにはこの自律神経のバランスを整え、心の調子、体の調子を整える効果があるのです。

またその効果は一過性といえど、ある程度の持続性が確認されています。
森林浴にいったそのときだけではなく、定期的に森林浴を継続していくことで長期的な効果が期待できるようです。


(2)森林のパワー2:森林のアメニティ機能

森林は私たちにアメニティ(快適性)を与えてくれます。そして森林浴では、その快適性を五感で感じることができるのです。

美しい風景を”視覚”から。
小川のせせらぎや小鳥のさえずり、森の静けさを”聴覚”から。
フィトンチッドの香り、花や土の香りを”嗅覚”から。
土や落ち葉、木の肌触り、通り抜ける風を”触覚”から。
山菜や木の実、キノコなどの森の産物を”味覚”から。

森林=樹木、というわけではないのですね。
森林はたくさんの要素から構成されていて、その一つ一つを全身で感じることが私たちにとって良い刺激となるようです。


医療としての森林浴…森林療法とは?

医療現場でも、森林浴は注目を浴び始めました。
降矢先生が院長をつとめる赤坂溜池クリニックでは、実際に森林療法がおこなわれています。
(参考:森林療生プログラム http://shinrinyojo.blog24.fc2.com

森林療法とは、森林浴や森林レクリエーション、カウンセリングなどを含む、森林の地形や自然を利用した”健康回復・維持・増進活動”のこと。

自律神経のバランスを測定するなど、その効果をみながら治療が進められていきます。
「森に入ると気持ちがよい」という個人の感覚は、実はもうすでに数値としてはっきり実証されているのです。
ストレスによる疾患への治療や、生活習慣病の予防・改善など多岐にわたる分野で効果が期待されています。


森林療法で”ホリスティック医学”

森林療法は”ホリスティック医学”としても注目されています。
ホリスティック医学とは、体や病気だけを診るのではなく、心や環境などを含めた人間全体を見据える医学のこと。

森林療法はホリスティック医学の概念を導入しやすく、赤坂溜池クリニックの森林療法ではこの点を重視したプログラムが組まれています。

例えば”癒し”を重視すること。
測定できない心の面やQOL(Quority Of Life)など、”癒し”が重視されます。そして森林は、フィトンチッドや景観による”癒し”効果が非常に高いのです。

例えば”人生観・世界観”を重視すること。
プログラムの中には、じっくりと、広い視野で生活習慣やストレスについてみつめる時間があります。森林は開放的な空間です。自然体であることや主体性をもつことの重要性に、気が付きやすい場所でもあるのです。

こうしてみると、医学なのにそこまでやるの?という印象すら受けそうですね。
森林療法は、こうしたホリスティック医学の概念を取り入れたプログラムで構成され、それぞれにゆっくりとした時間をとりながら、治療が進められていきます。

薬の効果はあげるか、さげるかのどちらか
けれど森林は、薬とは違います。心と体の上手なバランスをとってくれる「調整作用」は、森林だからこそできること
森林療法は薬の代わりではないのです。薬ではできないけれど、森林にはできることがあるんですね。


また降矢先生は、こうした治療としての森林療法だけではなく、私たちに広く森林に行くことを進めています。
ときどき森林に行ってみて、ウォーキングをしてみたり、景色を眺めたり、友人と食事をしたり、ゆったりとした気持ちになったり…
そういった時間の過ごし方もいいかもしれません。

森林で元気モリモリ!
素敵なだじゃれとともに、講座は締めくくられました。


講座を受けて…

私は山梨県の、とーっても田舎の出身です。
360度、どの方角を向いても森を見ることができます。

いま思えば、森林の恩恵を受けながら育ってきたのかもしれません。

例えば愛犬との散歩では、いつも林道を使います。
舗装された道路沿いを散歩する方が家から近いですし、歩きやすく便利です。
けれどなんとなく「気持ちがよくてすっきりする」ので、いつも林道を散歩していたのです。

(いつも散歩に利用している林道。鳥の鳴き声がBGM)

今回の講座を思うと、すっきりとする感覚は気のせいではなかったのかもしれません。秘密の森林パワーを受け取っていたのでしょうか?


もう何年も前から、過剰なストレスによる疾患や過労など、現代ならではの問題が叫ばれ続けていますね。
降矢先生のもとにも、そうして心身を痛めた患者さんがたくさんいらっしゃるそうです。

忙しいとどうしても、薬で治すことに頼りがちですが、本当は日常から離れて、ゆっくり休むことが必要なのかもしれません。しかし、健康のために森林を利用するという感覚は、まだ日本にはあまり浸透していないように思います。

そういったことも踏まえ、講座の冒頭で降矢先生は、「森林セルフケア」という言葉を使う理由について説明してくださいました。
森林を利用していくことをより身近に捉えてほしい、そして病気でない方がより健康になるために、予防としても利用できるということを広めていきたい、だからこそ「セルフケア」という言葉を使うのだとおっしゃっていました。


ちょうど秋の紅葉の時期ですね。
森林にいく、いってのんびりする、そういった時間はいかがでしょうか?


担当:菊池

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