2013年10月15日火曜日

放射能とどのように向き合うか

放射能とわたしたちの暮らしについて考えよう!


こんにちは。榎戸です。

夏とは違う透き通った秋の青空が良い頃になりましたね。
そういった日は、公園でのんびり過ごしたいものです(笑)


さてさて、気づけばPART2も最終回です。


「食の安全と放射能
-チェルノブイリに学ぶ福島原発事故‐」



食の安全と放射能

 

講師:河田昌東 氏
NPO法人 チェルノブイリ救援・中部 理事




講師の河田さんは、去年に引き続き今年も講演してくださいました。
簡単に経歴を紹介させていただくと、名古屋大学の理学部の教授を長年務められており、公害やチェルノブイリについて研究なさっていました。



今回の講座も、長年のチェルノブイリ支援から得られた教訓と照らし合わせながら、現在福島県南相馬市でおこなっている活動、そして今後の私たちがどのように被ばくリスクと付き合っていかねばならないのかといった、2つの視点からお話していただきました。



南相馬市での活動と実状とは

福島第一原発事故から約2年半が過ぎました。しかし、この間も汚染水の流出は続き、毎日400トンの汚染水が貯められている状態です。この汚染水は、土壌だけでなく、その土からできた農作物や山菜などが複雑な流通経路を通って全国に拡散している可能性がある事を指摘しておられました。


河田さんが活動するNPO法人チェルノブイリ救援・中部では、空間線量を測定して南相馬市の汚染マップ作り、市民の持ちよる食品、土壌、井戸水などの放射線量の測定をするサービスを始めました。


まず、汚染マップの作成で、物理的半減期から推定されていたよりも約2倍の速さで空間線量が減少しているということがわかってきました。
そして、放射線量の測定サービスからは汚染しやすい野菜(ブロッコリー、大豆など)とそうでない野菜(根菜類、ネギ類、ナス科のものなど)が明らかになり、心配していた飲み水もほとんど汚染がない状態であることがわかったのです。



汚染地域の方と協力しながら、自らの命を守る手立て一緒に探していくというチェルノブイリ被災者支援の中で培った真摯な姿勢が、福島でも実践されているのだと、このお話をきいて感じました。


また、チェルノブイリでおこなっている菜の花プロジェクトも南相馬市でおこなっています。これは、除染することを目的に汚染された土壌に菜の花を植え、その菜の花をバイオエタノールや菜種油として利用しようという活動です。



←個人的には、一石二鳥で素晴らしい取り組みだと思いました!この取り組みを南相馬市だけでなく、もっと多くの地域でおこなわれるようになると、より良いなと思いました。
 




時間差で生じる被ばくリスクとどう向き合うか

チェルノブイリ事故の被災地であるウクライナでは、植物に関して言えば、モモなどの落葉樹では10年後に実から高濃度のセシウムが検出されたそうです。
人への影響に関して言うと、事故から時間が経つにつれて外部被ばくは大幅に減り、内部被ばくによる症状が多くみられるようになりました。これは、空気中の粉じんと食べ物、飲み物のに含まれる物質が体内に蓄積されることからおこってしますのです。


「これを防ぐにはどうしたらいいのか!?」とみなさんも思いますよね。
会場の方からも同様の質問がでていました。


2つの方法が挙げられます。
まずは、食べ物と飲み物に気をつけて、体内への蓄積を防ぐこと
そして、放射線物質を体外に出すのに良いとされる発酵食品やビタミンをとること
(チェルノブイリの支援物資として味噌なども送られていたそうです。知りませんでした。)



←実際に福島でも、今後内部被ばくによる人体への症状が現れるかもしれません。私たちは、自分は大丈夫と安心しきってもいけませんし、誤った情報で左右されてはならないと思いました。しかし、それを言うのは簡単で、そこにはまだまだ障害が潜んでいると感じています。





全体を通して感じたこと

震災から約2年半経って、ニュースなどで被災地に関することを報道する機会が減っているように感じていましたが、河田さんのお話を伺って、今も問題は進行形なんだ…むしろこれからなんだという思いが強くなりました。


また、そもそもの原因は原発を導入したことから始まったという意見もあがりました。そういった意味では、食の安全と放射能の問題は、日本全体に関わり続ける問題だなと思いました。


そして最後に、放射線汚染は目に見えない分、人々に恐怖心や安心感を与えてしまうのだと私は考えます。だから、目に見える数値や情報を収集すること、発信することが、農産物の生産者と消費者、ひいては避難していまだ帰れない人達にも大事になってくると感じました。




NPO法人 チェルノブイリ救援・中部 http://www.chernobyl-chubu-jp.org/




担当:榎戸

2013年10月7日月曜日

本物の”おいしさ”へ立ち返ろう!

みなさんこんにちは!
大学の授業も後期となり、気分一新の菊池です。

更新が遅くなりましたが、先月24日にありました市民のための環境公開講座パート2 第2回のレポートをお送りします。


「サプリも薬もいらない!?見直そう!日本の伝統食」

講師は岩佐十良先生。
岩佐先生は、ちょっぴり変わったご経歴をお持ちの方です。今回は岩佐先生のご経歴を紹介しながら、レポートを進めていきたいと思います。

「自遊人」という雑誌はご存知でしょうか?

”本物”を追求するライフスタイル誌として創刊され、「食」と「温泉」を2大テーマとした、斬新な切り口による多様な特集で人気の雑誌です。岩佐先生はこの雑誌の編集長、そして株式会社自遊人の代表取締役をされています。



岩佐先生ご自身は東京・池袋のご出身で、美術大学を卒業されました
美術大学から出版社へ飛び込み、数年後に独立して株式会社自遊人が誕生します。

2000年に「自遊人」が創刊されたましたが、このときのオフィスは東京の日本橋。しかし2004年、なんと突然オフィスまるごと新潟県の魚沼へと移転したのです!


”おいしさ”への追及と”魚沼”への移住

どうして突然、魚沼へ移住したのでしょう。それもオフィスまるごと。
そこには岩佐先生をはじめ、自遊人スタッフの”本物”への探求心がありました。


魚沼といえば日本一の米どころですね。

あるとき、自遊人でお米の特集がありました。美味しいお米を求めて、約2年のあいだになんと1000種類ものお米を食べたのだそうです。

そうするうちに生じた疑問、 「美味しいお米はどうやったらできるのだろう?」

土壌が特別だから?水がいいから?肥料をよくやっているから?…
実際に米農家の方にインタビューをしていくも、人によって、その理由は様々でした。お米が美味しい理由を一概に説明することはできなかったのです。


それならば実際にお米を作って研究しよう!こうして魚沼へのオフィス移転が決まったのです。

はじめは2年くらいの短期移住の予定でした。
しかしコメが収穫できるのは1年に1度。しかも先生方の想像以上に、農業ははるかに大変な作業でした。

研究として米を育てられるようになったころには、すでに移住から4年が経過していました。小さな区画に分かれた棚田を所有しているため、いくつもパターンを試しながら棚田ならではの米作りを追求されているそうです。

こうして、東京にも大阪にもオフィスをもたない唯一の全国誌「自遊人」ができました。


本当においしいものを市場へ

雑誌「自遊人」では生産者の産直を支援するため、食品販売も行っています。
  (Organic Expless:http://www.jiyujin.co.jp/organic/

本当においしいものや伝統的な食べ物は市場になかなか出回らない、ではその販売までやってしまおう!という訳です。

生産者と消費者が直接結びつく「産直」、多く見かけるようになってきましたね。食品の新鮮さや安全性を求めて、産直を選ぶ消費者が増えつつあります。


しかし、産直だからといって必ずしも”いいもの”に出会えるとは限りません。

”いいもの”を作るために手間暇をかける生産者にとって、産直をするためにHPを作成したり、独自の販売ルートを確保し、商品化して配送する、このような時間や労力までを補填することは難しいのです。
”いいもの”をつくる生産者が多くいても、市場に出回らなければ消費者は手にできません

そこで「自遊人」が仲介となって販売を行うことで、生産者の産直を支援しています。


いいものは、適正価格で

最近、野菜の値上がりが話題になっていますね。
でもそもそも、食品の適正価格って、どのくらいなのでしょうか?

資本主義は食品産業にも持ち込まれ、食品も例外なく競争の対象になっています。手間暇をたっぷりとかけた食品にさえも、安さが求められてしまうのです。

これを打破しないといけない。
”いいもの”には、それに適する価格をつけるべきだと岩佐先生はおっしゃいます。手間暇をかけるということは、それだけ時間と労力が注ぎ込まれているということ。それを格安で売られてしまったら、”いいもの”は維持できません。

しかし手間暇がかかっているからといって、農産物そのものの販売において適正価格=普通よりも高い価格をつけることは簡単ではありません。
どうしても身近で安価な農産物が優先されてしまいます。

そのため、岩佐先生は農産物に付加価値をつけた農産物加工品を重要視しているのだそうです。

自遊人の産直では、このような農産物加工品も多数販売しています。もちろん”いいもの”にこだわって選び抜かれた加工品のみ。

値段は少し高くとも、生産者が手間暇をかけて作った”いいもの”が消費者に届く仕組みなのです。


伝統食の見直し

そして最後は伝統食。
日本の伝統食ってなんでしょう?どうして伝統食が健康にとって重要なのでしょう?

味噌を例にとります。

木桶で作られる天然醸造の味噌と、速醸方式(加温して発酵を速める製法)の味噌。比べてみたことはあるでしょうか?ないという方はぜひ、スーパーで食品ラベルを見比べてみてください。

そうすると、天然醸造味噌はいたってシンプル。
  「 大豆、米、食塩、酒精 」
おそらくこのような表示がなされているかと思います。

しかし速醸法式でつくられた味噌はというと…?
昆布ダシのエキスやアミノ酸など、数種類の添加物が入っているはずです。


ここでは天然醸造がいい、速醸法式が悪い、ということを言いたいのではありません。

しかし、”おいしい”のはどちらでしょうか?

この視点で食品を捉えたときに、”おいしいもの”がたまたま伝統的な製法でつくられていた。化学調味料や添加物を否定するために天然醸造を選択したのではなく、おいしいものを選択した結果が天然醸造だったのです。

これは味噌に限りません。”おいしいもの”を追求していくと、”伝統食”にたどり着くのです。

おいしさだけではなく、健康についても同じことが言えます。”健康で暮らしていくこと”を考えた時に、たどり着くのが”伝統食”や”無添加”、原材料の生産に関しては”有機栽培”だったのです。


雑誌「自遊人」ではいいものやおいしさの”本物”を追求し、健康に暮らしていくライフスタイルを提案しています。
その結果としてたどり着いたのが、魚沼で米作りをしながら雑誌を制作することであり、有機栽培や無添加の食品を作る生産者を支援し、それらを消費者に届けていく仕組みづくりをすることだったのだと思います。


講座を振り返って…

書店の雑誌コーナーで何度か見かけていた「自遊人」。
雑誌の制作というと、あちこちに取材に出かけ、記事を編集していく。しかしまさか、美味しいお米特集から始まり、本当に米作りまでやってしまう雑誌があったなんて驚きでした。

それだけに、岩佐先生の”本物”への探求心や、それを読者に伝えたいという信念が感じられました。食品販売についても、利益追求ではなく、”本物”をつくる生産者と”本物”を求める消費者をつなげたい、そんな思いが伝わってきました。

自遊人の通販サイトOrganic Expressでは、実際に自遊人として生産しているお米も買うことができます。
また、無添加や有機栽培など、細かな出品条件についても説明がされていて、ここでもまた岩佐先生方の”本物”に対する思いが詰まっているのだと感じます。


最後に番外編として、私自身の話になってしまうのですが…。

ちょうどこの講座を受けている時期、忙しさもあり外食や調理済み加工食品頼りの生活をしていました。その時期と重なるように、次から次へとニキビができてしまいびっくり。
ニキビはほとんど出来ない体質のはずなのになぜ?

そう悩むうちに学校が始まり、生活も落ち着いたので自炊を再開しました。するとあっさりと、ニキビは消え去っていきました。確かに振り返ると、ニキビができるタイミングは必ずと言っていいほど自炊をさぼっているときばかり。

まさかこれが”本物”パワー…?と、思わず勘ぐった先週の私でした。


担当:菊池